設立の趣旨

  我が国の厚生労働省は外務省、国際協力機構(JICA)と協議連携し東南・南アジア、中南米、中近東及びアフリカの発展途上国に対し職業訓練政策、職業訓練施設整備、訓練用機器の供与及び技術専門家の派遣、当該国職業訓練政策担当者、職業訓練指導員を日本に招聘し政策・技術研修を1960年代より行なってきた。これらの職業訓練政策・職業訓練施設管理運営は当該国担当者により引き継がれ人材育成に大きな貢献をしてきた。これらの事業は当該国と我国との間で技術協力確認書を交わし5年から10年にわたる技術支援を行ない当該国自身の人員・予算で運営する能力が確認されると引渡しを行なってきた。 

 しかしながら、技術協力終了より数十年が経過し機材の老朽化、担当指導員の交代等により日本の技術協力の成果が薄れつつある。このため現在日本で行われている職業訓練手法、技術訓練、訓練生の就職指導等の支援を行い訓練施設の運営管理を効果効率的に行うことが求められている。技術支援では日本の進んだ技術を現地に移転しても労働市場ニーズに合致しないことが多々見受けられる。当NPO社員は過去に於いて開発途上国に赴任し多くの指導経験を持っており、かつ当該途上国が求める技術を有している者が多数を占めているが定年退職後それらの能力を活用する場が少なかった。これらの能力を生かし発展途上国との草の根レベルでの技術協力により国際交流を行い、友好国を作り上げて行く必要がある。このことを実施するため厚生労働省、千葉県担当者と密なる情報交換を行い当NPOが担当すべき分野を精査し外務省、国際協力機構との連携協議し資金的支援を受けて行くことは重要な要素である。 

 また、民間団体・NPO等が発展途上国での人財育成事業支援として職業訓練を行なっている。このほかこれらの諸国には一日一ドル以下の収入しかない貧困層が多数存在し、この中には内戦による難民が多くを占めている国もある。これらの貧困層への支援の中には貧困から脱出するため手に職を付け就職や自営に導くことを目的としているものもある。これらの組織と連携し産業人材の育成、基礎的職業訓練実施による生活基盤の安定支援等に対しこれらに多くの経験を持つ当NPO社員が加わることにより効果的・効率的な技術移転や運営に寄与が期待できる。 

 また、国、県、団体等が開発途上国から日本に招聘し日本の産業技術や社会基盤に関する技術研修生に対し当NPO事業目的に合致する要請に対し講師を派遣する等の国内業務を予定している。 

 一方、国の業務を民間企業、特に民間技術コンサルタント会社に委託して実施する国際技術協力プロジェクトが多くの発展途上国で行われている。この中の幾つかのプロジェクトには職業訓練支援事業も含まれているが民間企業には職業訓練に精通した技術者が不足している。このため当NPOより不足する当該技術を持つ社員を民間コンサルタント会社に人材派遣することは我が国の国際貢献の大きな部分である相手国の人造りにとっても欠かすことのできない重要業務であるがその技術は日本の先端的技術より過去日本の経済発展の中で培われてきた中高年技術者である当NPO社員が最適と思料するものである。当NPO社員は定年退職者で構成されているが体力と気力のある高齢者の生き甲斐の場造りも一目的としている。